Let's call a spade a spade.

”成熟したオタク”を模索しています。

美しい日本のメール文章

 表題の「美しい」はもちのロンで「日本」にかかります。

 ところで。一見では社会不適合っぽい僕なのですけれども、一応は社会人を長年とやっとります。で、IT社会でございますので、日々、大量のメール文書を受け取るのです。その中で、「資料を送信させていただきます。詳細はこちらをクリック」のような文章を拝見することが多くなりました。無礼なんだか丁寧なんだかですが、皆様のところではいかがでしょう?

 させていただく語については僕がどーこー言うまでもなくてですね、もはや社会問題と言いましょうか、こちらなど読んでもらえればですね、おかしいってことはすぐ理解できるはずなんですが、テレビで「歌わせていただきました」なんて風にあふれかえってる昨今ではそれも虚しいところでございまして、状況に合わせて言葉を認めていくしかないよねーって感じですね。まあ、プロの歌手は色んなところの許可をとって歌ってるのも確かでして、あれは視聴者に向けてではなく、主にJASRACを向いて言ってるのかもです。そうであれば、非常にコレクトですね。そんな歌手は嫌ですが。

 さて、今日の議題は「こちらをクリック」ですよ。考えますに、あまりにも直訳すぎはしないでしょうか。初代Wizardryじゃないんですから。「おっと!ポイズンニードル」みたいな臭いがしませんか?、「こちらをクリック」には。そんなんだったら訳すことなどなしで、「資料を送信させていただきます。Click here!」の方がJ-popの歌詞みたいで格好いいじゃないですか。いや、ビジネス文書だから、格好いいじゃダメか。

 真面目に考えますと、「詳細はこちらをクリックしてください」にして全部をハイパーリンクにしますと、下線が長すぎてどうにも間延びするってのはわかるんですけどね。僕は四半期に一度くらいのペースでイントラネットに載せる社内報的なものを作る仕事をすることがあるのですけれど、「こちらをクリック」を完全に排除するのは結構大変です。ウェブデザイナーって職種がプロとして存在するのはよくわかります。でもなー、ビジネスで「こちらをクリック」って美しくないと思うんだよなー。皆さんはどう考えます? フツー?

 そもそもとして、私たちの国の言葉はどうにもだらだらと続いてしまうものでして、これはもう偉い学者の本でも読んでいただければどれにだって書いてあることです。漢語を使わないとだらだら感は全開ですよ。「当ブログは和語を使用しています」ってのと「こちらのブログはやまと言葉を使っています」だと、やっぱり後者がだらだらしてますでしょ? 美しい日本の言葉はだらだらしています。それは良し悪しの問題ではなく、事実として。ビジネスやメールに向いてないんでしょうね。だから、絵文字が流行るのでしょうかね。感情も含めて文章を圧縮するために。

 蛇足になりますが、僕もブログで多用してしまう「こちら」って言葉も実はどーにもこーにもなところがありますね。まあ、ブログで使う分には構わないのです。ビジネスの場で「次はこちら!」と言いながらプレゼンしてる奴には「お前はバラエティ番組の司会者か?」と問いただしたくなりませんか? テレビ番組がいかんのかなあ。ああ、ダウンタウンの浜田さんくらい「コチラーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」と声を張っていただけますと、眠いプレゼンでも目が覚めていいかもです。

 という風味で、今日はネットで良くある「おじさんが謎のビジネス常識を語る」の巻でした。予想するに、20年後の美しい日本のビジネスメールは「お世話になっております、こんばんは。メールで失礼させていただきます。こちらをクリック。(スタンプ)」みたいになってそうで、あれ?、これはこれで面白そうですね。